Lillies and Remains/Transpersonal

 

こんにちは、GonZと申します。

最近旧友がLillies and Remainsにハマってくれて嬉しい刺激を受けたので、改めて過去作Transpersonalのレビューをしてみようと思います。

 

2011年発売の本作は、1st Part Of GraceからVo.Gt.以外の2名をメンバーチェンジし制作された2ndフルレングス。

発売当初から長らく私の中で1番好きなアルバムとして君臨していた作品で、恐らく1000回以上は再生していますw そんな今作の良さを少しでもお伝えできれば幸いです。

 

各曲感想(お気に入り度 ★1〜5 ☆は0.5)

 

#1 Across The Line(★★★★★)

のっけからこれでもかというくらいぶっ飛ばしているアグレッシブなキラーチューン。激しさで言えば本作随一。メタリックなギターに手数の多いドラムが絡み、シリアスに加速していく。特筆すべきはアウトロで、ベースラインで全てを持っていく感じが斬新かつ非常にかっこいい。今後に期待を持たせるような末尾のリードギターも秀逸。ベストトラック候補。

 

#2 Effectual Truth(★★★★★)

近未来感漂う不思議なニュアンスで歪んだバッキングに、メロディアスなボーカルとリードギターが乗っかる本作の雰囲気を象徴するような一曲。全てのパートに聴きどころがあるが、美麗なサビメロの背後で自在に滑走するリードギターが特に素晴らしい。

 

#3 Broken Receiver(★★★★★)

はい、まずタイトルからして好きですw

「ダサカッコイイ音楽が好き」とVo.Kent氏が語っていたと思いますが、その言葉を体現するかのようなトラック。Bメロ(サビ?)後のリードギターが実質サビの役割を担っている。#1と同等かそれ以上にアウトロがよく出来ていて、ミュートギターとメロのシナジーに初めて聴いた時鳥肌が止まなかった。ファンからも高い人気を誇っていると思われ、Liveで頻繁に披露されています。

 

#4 You're Blind(★★★☆)

80'sへの恋慕を感じるミニマルかつモノクロなポストパンクナンバー。メロディーのクラシカル感が強く、正直当時はそこまで好みでは無かったのですが、改めて聴き直すと歳を重ねたせいか好印象を受けました。いぶし銀。渋すぎる。

 

#5 Obsession(★★★★☆)

Sonic YouthのUnmade Bedを想起させる、仄暗いミディアンテンポナンバー。ダビーなベースがセクシー。起伏は少ないのですが、聴いていてそろそろオカズが欲しいなと思ったタイミングで挿入される2:28の間奏ギターが憎い。しっかりと痒いところに手が届いている。

 

#6 Injustice(★★★★★)

#5に引き続き物憂げな印象のニューウェーブナンバー。"憂い"という表現が本当によく似合う。リズムは軽快ながらもメロとリードギターが胸を締め付けてくる。さりげなく凝ったドラム、効果的に使用されるクランチギターもナイス。

#1.2.3.11.12辺りも甲乙つけ難い素晴らしさですが、私はこの曲をベストトラックに推します。

 

#7 Human Intellect#2(★★★★☆)

ミニアルバムMeruに収録されていた曲のアレンジver.  リズム隊の厚みが増している。今作で唯一多幸感を得られる楽曲で、リリーズのポップセンスを再確認出来る。ラスサビ前の3:15に一瞬挿入されるクランチギターのアイデアが新鮮。

 

#8 Avijja (★★★★)

#7のハピネスな雰囲気から一転し、作中最もダークなプログレナンバー。評価が非常に難しい。迷宮都市然とした退廃的な空気感が特徴。救いのない感じに聴いていて少し息苦さを覚えてしまうこともあるが、曲順においてうまく変化を付けることに成功しているとも言えるでしょう。

 

#9 Peak Experience(★★★★)

重厚な#8から解放されほっとした気持ちにさせてくれるインストアンビエントナンバー。クリーンで静謐な雰囲気が素敵。当時もう少し長尺で聴きたいなと思っていましたが、後ほど発売されたミニアルバムLostに本曲のLong Ver.が再収録されています。嬉しみ。

 

#10 Lucid(★★★★)

ギターの音数を最小限に抑えつつ、リズム隊が暴れ回るアッパーなドラムンベースナンバー。うねりにうねったベース、ファンキーなメロが面白い。細かい部分ですと、歌詞のduties、ladderという響き、3連ハイハットのビシバシ感が癖になる。

 

#11 Aggregate Our Life(★★★★★)

#2と同じく、本作のストレンジな雰囲気が前面に出ているアップテンポナンバー。マニアックな話ですが、この曲はリリーズが渡英した際に現地録音した会場限定シングルに収録されているthere is new lifeという曲のアレンジver.です。

奇怪に絡みつくユニゾンギター、サビ直前のどこに誘うんだよって感じのメロ、よくこんなの考えつくなと感心します。準ベストトラック。

 

#12Trans(★★★★★)

本作ラストのスロウテンポナンバー。サビ後のギターが特に好きで、The CureのJust Like Heavenからインスピレーションを受たのかなと勝手に想像しています。アルバム最終曲として余韻が素晴らしく、どこか輪廻をモチーフとしたような印象を受けていましたが、前述のギターに加え、幾重にも重なるコーラス、締めの荘厳なハウリングがそれを生み出しているように思えます。

 

アルバム総評

 

Lillies and Remains/Transpersonal 

★★★★★

 

発売から10年以上経ちますが、やはり今でも文句なくおすすめの一枚。大学生の時分、発売日に満を持して渋谷のタワーレコードでヘッドフォンを鷲掴みにし、#1-3を通して試聴した時の衝撃を未だ鮮明に覚えています。

前作と比べシンセサイザーの使用頻度が高まり、クールな雰囲気はそのままに曲の表情が多彩になったと感じる。やや拙かった演奏面もリズム隊を刷新したことで向上しており、現在もサポートメンバーを務めるkousuke氏のドラムが特に素晴らしい。音楽性としてはポストパンク→ニューウェーブへより接近したと言えるかもしれません。ジャンル的にとっつき辛さを感じる方も居るかと思いますが、リリーズ持ち前のポップセンスによって楽曲自体は非常に聴きやすく、本作もその例に漏れません。(低音ボーカルに関して好みは分かれると思います。が、私は好きですw)

入門盤としても適していると思いますので、よろしければチェックしてみてください。

 

https://open.spotify.com/intl-ja/album/5Q581UEF6wjlkNUzK1EZOB